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高校生・大学受験生向け 「地理」の参考書の紹介



 高校生・大学受験生向けの参考書・問題集を紹介します。しかしここに紹介したものは、高校生・大学受験生だけではなく、大学教養のレベルでも通用するものもあり、したがって教員採用試験・就職試験などのためにも通用します。そして環境問題など理系と文系との融合が大切な時代には、社会に出てからの常識書としても通用するのではないかと思っています。そもそも、大学受験だけのために勉強して、受験終了とともにすべて忘れてしまうなんて、もったいないことです。だから、ここの示したものは、一部を除き丸暗記するための本ではなく、考え方を理解したり、考えるための資料だと思ってください。

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権田雅幸・佐藤裕治 (1997) : 『権田地理B講義の実況中継(上)』. 語学春秋社, \1029円, ISBN4-87568-432-0, 270p.
権田雅幸・佐藤裕治 (1996) : 『権田地理B講義の実況中継(下)』. 語学春秋社, \1050円, ISBN4-87568-433-9, 292p.

 これら本はタイトルが示すとおり、大学受験生向け予備校「河合塾」での講義の、講師の発言や板書などが記されている。内容としては問題演習を行いながら、講義を進めているのだが、だからこそ網羅的な説明であるとは言えない。ただ地理の内容は網羅的になると無限の広がりを持ってしまうので、地理の学習は、問題演習を中心にするのが効果的だとも言えるので、お勧めできる。内容としては、高校生としては高度な内容が含まれる。とくに、数学が苦手な者にとっては、何でこれが地理なんだと思うところもあるかもしれない。しかし、大学では地理学を学ぶコースは、大学によって文学部に所属をしていたり、理学部に所属したりしている(ただし一番多いのは教育学部に所属)。そもそも地理は文系でもなく理系でもないのである。宮本は、高校社会(現在の制度でいうと地理歴史と公民)の教員免許と、理科の教員免許を持っていることからも、そのことをわかって欲しい。
難しいところは、飛ばして読んでくれても良い。でもとにかくこの二冊を、問題演習をしながら通読して欲しい。論述問題などは自ら解かなくても良いのだが、とにかく問題も解答も解説も読んで欲しい。自然環境と人文・社会現象との因果関係を考えながら、地域や分布を捉えるのが地理だということがよくわかります。(もちろん理系大学志望者は数式による説明のところも読んで欲しいし、論述形式の出題がされる大学を志望する者は、論述問題も解いて欲しい。)

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坂本 勉 (2006) : 『改訂版 ジオゴロ地理B―坂本のスーパー暗記帖 (快適受験αブックス) 』. 学習研究社, \1050円, ISBN4-05-302093-X, 211p.

 このページの最初に丸暗記するための本はここで紹介しないと書いたのだが、この本は暗記するための本である。ただ語呂を使って暗記するのではなく、因果関係とともに覚えさせるという手法を取っているので地理的な思考方法も身に付くと言える。例えば、世界の国の面積や人口が登場するのだが、これらを農業とも結びつけて理解する(覚える)という手法を取っている。また、図表も多用されていて、時間があるときに部分的にでも読むと、暗記するためというだけでく、勉強になると言える。

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帝国書院編集部編 (2009) :『新詳 資料 地理の研究』. 帝国書院, \980円, ISBN978-4-8071-5821-8, 344p.

 この本は価格の割に内容も豊富で、かつかなりレベルが高く、大学教養科目・教職科目での参考資料としても使えるかと思う。図表集なのだが、付随する文章による説明も豊富なので、図表を読みとりの勉強になる。地図を基にちょっとした説明が書かれているところなどは、学習者のみならず教える立場のものとしても参考にできる(まねできる)。ただし。片っ端からこの本を読み勉強するのには、ボリュームがありすぎる。問題演習の際にわからないところをこの本で調べ、まさに参考書として使用するのが正しい使い方だろうか。とにかく格安でお得だし、持っていて損はないと言える。

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中村泰三編 (2008) :『理解しやすい地理B―教科書マスターから受験対策まで (シグマベスト) 』. 文英堂, \1995円, ISBN978-4-578-24104-1, 415p.

 参考書出版社が出している、唯一の参考書らしい参考書だといえる。それだけにボリュームもあり、片っ端から読むというより、問題演習時に調べるために使う、まさに参考書として使用するものだと言える。索引も充実しているので、用語集的に使用するのも便利だ。ただ、ボリュームがあるために、持ち運んで使用するのはちょっと辛い。だから有名な山川の『地理用語集』は持ち運び用と決めて使用し、持ち運びしにくい本書と併用するのが最善なのではないだろうか。

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二宮健二編 (2010) : 『データブック・オブ・ザ・ワールド―世界各国要覧と最新統計〈2010 Vol.22〉』. 二宮書店, 680円, ISBN978-4-8176-0340-1, 479p.
 価格の割にボリューム満点の資料集で、前半の表形式の資料と、後半(といっても大部分の)各国要覧からなる。前半の表資料には説明文などはなく、表を用いた問題を解くための参考書として使用するのがメインだと思う。また、入試問題等の作成者もこの本中の表や、各国要覧を使用して表を作るケースが多いと思う。だから、地理問題集の解答解説を作成する仕事をしていたときには、なくてはならないものであった。格安なので持っていても良いのだが、持ち運びのことを考えると前半部のみを『地理統計要覧』として購入しても良いと思う。

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Z会出版編集部編(2006) : 『入試に出る地理用語&問題2000』. Z会出版, \945円, ISBN4-86066-119-2, 287p.
 丸暗記をするための本は紹介しないというのがこのページの目的なのだが、この本だけは丸暗記のための本だと言える。一問一答形式で記憶の定着を計るもので、大学入試問題をもとに作成されているので、有名な山川の『一問一答地理用語問題集』より私大入試などで使用する人にとっては実践的だといえる。また、左ページの一問一答に加え、右ページに「要点のまとめ」として図表も多用されているので、丸暗記感は少なくなる。しかし、一問一答の問題は、入試問題の一部のみを切り取ったためなのか、その箇所だけを見ても解けないこともある。こんなところは無理に丸暗記せず、「へーそーなのか」程度で受け流すことも大切なのではないかと思う。現在書籍版としては古本を探す以外、入手不可能のようだが、電子書籍として売り出されているらしい。電子書籍版については、内容が確認できないので、コメントは控えることとする。また、山川の『一問一答地理用語問題集』についても、この本の問題を丸写しして教員採用試験の作問を行った県があったらしいので、絶対に不要だというわけではない。
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 最後になりましたが、地理における一番の参考書は『地図帳(教科用図書=教科書「地図」)』です。万が一「授業で使った教科書を授業が終わったら捨てる」という人がいても、絶対に地図帳だけは捨てないで下さい。そして、テレビを見るときに座る位置の傍らに置いて、テレビニュースで知らない地名が出てきたら、その都度調べて下さい。新しい地図帳を買ったとしても、捨てないで下さい。国名が変わる前の地図は、のちのち歴史的の資料になります。


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